松井闇の中「よくないかも…」不調のまま開幕へ

ヤンキース松井秀喜外野手は遠征には同行せず、ジーターやAロドリゲスらWBC出場組とともにキャンプ地にとどまって練習を行った。打撃の調子は「よくないかもしれない」と珍しく自分から認めるほど下降気味。5日後に控えた開幕戦は不調のまま迎える可能性が高くなった。

 キャンプ地に降り注ぐフロリダの強い太陽光とは対照的に、フリー打撃に取り組む松井はまるで闇の中にいるようだ。バットから飛び出たボールは上がり過ぎて打撃ケージの天井部分を叩いたり、一、二塁間に転がったりと、なかなか角度よく外野に飛んでいかない。フリー打撃後にはすぐに室内練習場へと向かい、片手でのスイングを繰り返すなど徹底した細部のチェックを行った。現在の調子について、「バロメーターがあるとしたらよくないかもしれない。試合という意味では、あまり対応できていない」と不調を認め、実戦に対する不安をのぞかせた。松井にしては極めて珍しい発言。時差のある、慣れない西海岸での開幕戦に対して「日本開幕よりはいいでしょう」と軽いジョークを飛ばすなど明るく振る舞うが、事態はかなり深刻だ。

 予兆はあった。26日のタイガース戦、第2打席。バットを折って一ゴロに倒れた。あまりバットを折らない松井のバットがへし折られたときは、不調への危険信号とみていい。27日のブレーブス戦で放った右前打は「飛んだところがよかっただけ」。さらに28日、フィリーズ戦の第1打席は初球に手を出して遊ゴロ、第3打席も初球を打って二ゴロに倒れた。「第1打席はちょっと遅れて、第3打席は強引にいってしまった」と、甘いボールを的確にとらえられない状況に陥り、「スイングのバランスがよくない。バランスがよくないからいいスイングができていない」と話していた。

 昨年の202打席ノーアーチに代表されるように松井はスランプに陥ると抜け出すまでに時間がかかる。開幕まであと5日。「焦りはない」。自らに言い聞かせるような言葉だった。
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