セ開幕直前! 意外な優勝候補とは!?

「荒れ球」ダーウィンに注目
 パシフィックリーグパ・リーグ)に遅れること約1週間。ついにセントラルリーグセ・リーグ)のペナントレースが31日から開幕する。パ・リーグでは、ワールドベースボールクラシック(WBC)の戦いぶりさながらに「王ソフトバンク」が「スモールベースボール」を体現。また各球団のWBCのV戦士目当てに、開幕日には3球場で初めて10万人を超える観衆が集まった。

 さて、先週のパ・リーグに引き続き、オンラインプロ野球ゲーム『ドリームベースボール』で連載ブログを展開する元プロ野球選手の五十嵐章人さんから聞いたセ・リーグの注目選手を紹介していきたい。『ドリームベースボール』もセ・パ両リーグが出そろう31日に開幕。全6試合がすべてナイターなので、これから注目選手をチェックして、オーダーを入れ替えてもまだ間に合う。

 まずは昨年のセ・リーグ覇者・阪神。ここ数年で人気、実力ともにナンバーワンの地位を揺るぎないものとし、今季も一番の注目を集める球団だ。昨季優勝の原動力となった“JFK”の一角、ジェフ・ウィリアムス投手が左ひざ故障で離脱したことは、懸念材料ではあるが、その一方で、昨季は故障明けから控えに甘んじた濱中おさむ外野手の復活や、思うような成績を収められなかったエース井川慶投手の巻き返しなど、興味深いプレーヤーが目白押しで、話題の尽きないチームである。

 その中で、五十嵐さんが注目するのは、ダーウィン・クビアン投手である。昨季から阪神に加わり、ウエスタンリーグで9勝1敗の成績を挙げ、最多勝と勝率1位を獲得。最速150キロを超える速球とナックル、チェンジアップを武器に、今季は新外国人のクリス・オクスプリング投手と「先発・第6の男」の座をオープン戦から争った。「ダーウィン投手は(球が)荒れているくらいのほうがいい」とは五十嵐さん。岡田彰布監督の期待も大きく、適度な「荒れ球」が他球団の脅威となるはずだ。

ラロッカ加入で東京ヤクルトを警戒
 阪神と開幕カードで対戦するのが東京ヤクルト古田敦也捕手がプレーイングマネジャーに就任し、話題性十分であるが、さい配面での負担を心配してしまう。2001年に優勝して以来、年々チーム力が下がり、昨季はついに5年ぶりに勝率5割を切った。他球団と比べて、どうしても見劣りしてしまうのが現実だ。

 しかし、五十嵐さんは「東京ヤクルト」をもっとも注目すべき球団に挙げている。「他球団の関係者がヤクルトを一番警戒している」。その要因としては、広島を解雇されたグレッグ・ラロッカ内野手の加入だ。同内野手は、広島在籍2年間で、58本塁打、157打点を挙げた強打者。昨季こそ故障で80試合の出場にとどまったが、オープン戦ではハイアベレージで安打を重ねた。



日本球界復帰の木田に復活劇を期待
 強打者が1枚加わったことで、昨季200本安打を達成し、首位打者を獲得した青木宣親外野手を筆頭に、オープン戦好調のアダム・リグス内野手、WBCで4割近いアベレージを残した岩村明憲内野手、そして強打の外国人選手、アレックス・ラミレス外野手、ラロッカ内野手、そして昨季99試合の出場で3割2分の好成績を収めた宮出隆自外野手と続く。7番にこれまで主軸に座ってきた古田監督、8番をシュアな打撃の宮本慎也内野手が固めることになれば、どこからでも得点できる攻撃力の高い布陣となるだろう。 岩村内野手はWBCで右太ももを負傷し、開幕からこのオーダーになる可能性は微妙な状況ではあるが、ラロッカ内野手が三塁もこなせることで、守備面でも大きな補強であったと言える。

 投手陣では、日本球界に復帰した木田優夫投手を推す。なぜなら「木田投手は私のいとこなんですよ(笑)」(五十嵐さん)。しかしながら、キャンプ、オープン戦と五十嵐さんは取材を重ね、評論家や関係者から木田投手の好調さを頻繁に耳にすると言う。「本人よりも周囲が評価しているのが好調の証」とは五十嵐さん。ベテランの復活劇に期待を寄せる。

ジャイアンツのキーマンは小坂
 他球団のベテラン選手で注目しているのは、広島東洋前田智徳外野手。「現役選手に『天才』として、もっとも支持されている」(五十嵐さん)。あのイチロー外野手(マリナーズ)さえも一目置く選手なのだという。今年35歳を迎える前田外野手。あと2年ほどで2000本安打(現在1758本)が見えてきた“天才”から目が離せない。

 そのほか注目すべきは、WBCでチーム最多の3本塁打を放ち、世界一に貢献した横浜の多村仁外野手。今季から3番に座る中日の井端弘和内野手は、打点の増加が期待できる。昨季、チームワーストとなる80敗を喫し、5位に甘んじた巨人は、トレードで獲得した小坂誠内野手の存在感が日増しに高まっている。復帰した原辰徳監督の掲げる「スモールベースボール」には、小技が使え、球界随一の守備と言われる小坂内野手の加入は、チーム全体の方向性に明るい兆しを見せる。千葉ロッテで小坂内野手と同僚だった五十嵐さんは「周囲に左右されることのない芯のある選手。チームが変わっても取り組む姿勢はまったく変わらないだろう」と評す。“いぶし銀”選手が巨人の「盟主復活」を強烈に後押しする。