横典リンカーンに「期待はしている」

 「第133回天皇賞・春」の枠順が27日、確定した。武豊騎乗の英雄ディープインパクトは、3冠を樹立した菊花賞と同じ4枠7番に入った。「キーマンの懐」では、リンカーンの手綱を取る横山典を直撃した。なお、天皇賞・春の馬券は、28日、ウインズ後楽園、新橋で前々日発売される。
http://www.sponichi.co.jp/gamble/jra/2006/race/0430/kyo/11.html http://www.sponichi.co.jp/gamble/jra/2006/time/index.html
――勝った前走(日経賞)だが、レース直後から「物足りない」と言われていた。あれは今回の“対ディープインパクト”を考えると、という意味か?

 横山典 もちろん、そうです。休み明けで重量を背負っていたのに、勝ったのだから評価できないわけではありません。ただし、次はディープインパクトと戦わなければいけないと考えると、前走はもっと楽勝してほしかったというのが本音です。

 ――有馬記念では、ディープインパクトに先着するかというシーンがあった。

 中山で多頭数だったから紛れがあるかと思った。だから本当は逃げ馬の後ろで競馬をしたかった。でも、スタート後にモサモサして行けなかった。それで自分が取ろうと思っていた位置をハーツクライに取られた。結果的にハーツが勝ったのだから悔しいね。

 ――それでも直線、狭くなるシーンがなければ、というところまで迫った。

 馬の精神面に響きそうな不利に見えた。誤解してほしくないけど、手綱を引っ張ってもおかしくないほどだったのは確か。それでも本当に強い馬ならあのくらいではひるまずに出て来なくてはいけない。そういう意味で対ディープインパクトというのを考えると厳しく思えてしまう。

 ――ディープインパクトを負かそう、と思ったら何が必要か?

 セイウンスカイみたいにペースをつくれるスピード。でも、それはどの馬にでもあるわけではないから奇襲も考えなくてはいけない。アドマイヤジャパン菊花賞みたいな競馬が何度も通用する相手でもないしね。

 ――他にはどのような手を考えているか?

 徹底的にマークするというのも作戦でしょう。上がり3Fの時計だけなら、リンカーンだって出せない数字ではない。

 ――ディープの場合、その3Fの中に1F10秒台の脚を繰り出す。そこで置かれないか?

 マークというのは何もぴったり後ろから行くというだけではない。ディープが外へ行った時、うまく内へ潜り込めれば1Fで1秒劣ってもついていくことは可能になる。馬場状態などの要素もあるから、最初から内へ飛び込んでやろうと決めているわけではない。

 ――なかなか付け入るスキが見つからない?

 相手はディープだけではなく、ほかの騎手も皆、それぞれの思惑を胸に競馬に乗るわけだから…。あれだけ強いディープを「負かしてみせます」とは言えないけど、何が起こるか分からないのが競馬だから、期待はしています。

 ≪取材後記≫リンカーンは過去2年の天皇賞・春で13、6着。「でも、菊花賞(3000メートル)では最後までよく伸びていた」と語る横山典。当時は包まれそうになり、仕掛けが遅れ気味になったのが結果的に良かったのでは?と突っ込むと、ニヤリとして再び口を開く。「自分が乗った時に距離不安を感じることはなかったよ」と。この言葉に横山典のプライドが感じられる。しかし、そんな彼でも対ディープインパクトの話になると「無理に勝ちにいくと惨敗しちゃうかな?」と悩める胸中を隠そうとはしない。とはいえ、そこは大一番でこそ持ち味を発揮する男。今回も何かしてくれそうだ。
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