“不敗男”愛敬 先発でも負けない!

 【楽天7−3ソフトバンク】“不敗神話”は生きていた――。楽天の6年目右腕、愛敬尚史投手(29)が27日、ソフトバンク戦でプロ初先発。強力打線を相手に5回2/3を1失点に抑えて今季初勝利を飾った。チームに今季7勝目をもたらすとともに、自身も03年9月16日のダイエー(現ソフトバンク)戦以来954日ぶりの白星。この一戦で愛敬は連続試合無敗記録を105試合として、日本記録の114試合まであと9とした。

 ウイニングボールはためらいもなくスタンドに投げ込んだ。プロ6年目で通算105試合目の初先発。愛敬が自己最長の5回2/3を投げて1失点。負けないどころか、954日ぶりの白星まで舞い込んできた。

 「先発を言われたときはびっくりしたけど、マウンドに上がったらこれといって意識しなかった。(先発での勝利も)中継ぎの勝利とそんなに変わらないですね」

 これまでは中継ぎ専門。21日の西武戦で打者10人を無安打に封じて、野村監督のお眼鏡にかなった。調整法に戸惑い、投手仲間に相談したほどだが、マウンドでは切れのあるスライダーと人を食ったようなスローカーブを駆使。打てそうで打てない。焦るソフトバンク打線を見事に術中にはめた。6回途中降板も“ブルペン仲間”の好救援もあり、連続無敗記録を105試合に伸ばした。

 今年1月は福島・猪苗代で初の雪上トレを敢行。極寒の地に1週間こもった。雪山で走り込み、温泉で体を癒やして心身を強化した。開幕は2軍スタートもローテーション投手が次々と離脱する中、回ってきたチャンスで答えを出した。

 中継ぎから先発へ。久しぶりに“再生工場”が稼働した野村監督は「愛敬は神様の愛情をもらってツキがあるんだな」。昨オフ1度は解雇されながら、野村監督に拾ってもらった小倉は4番手で1回無失点。「そういう(不敗)記録があると、ベンチが不思議と勝てる雰囲気になるんだよ」と笑った。

 チームは今季ようやくの7勝目。指揮官は「負けるはやすく、勝つは難し。50年やっているが、こんなことは初めてだ」と勝利にも渋い表情を見せた。それでも待ち望んだ“救世主”が現れた。「チャンスをくれれば絶対に仕事をする」と愛敬。まずは最下位脱出へ。こうなったら、負け知らずの右腕に乗っかるしかない。

 ≪左打者5人 野村采配が的中≫スタメンに左打者5人を並べた野村采配が的中した。「奇襲でも使わないと。正攻法でいっても道は開けない」。右横手の高橋秀を憲史の2安打2打点の活躍などで攻略。チームも8試合ぶりに5点以上を挙げた。4打数3安打で節目の1000本安打に残り1本に迫った礒部は「チームにとってつながる1本をどんどん打っていきたい」と意気込んだ。

 ≪インチェ左ひじ痛≫楽天インチェ投手(24)が27日、左ひじ痛のため出場選手登録を抹消された。23日の西武戦(フルスタ宮城)後に悪化したもので、古田チーフトレーナーは「1週間前にレントゲン検査を行った時に炎症があり、前回の登板後には痛みと腫れがあった」と説明。投球再開のメドについて同トレーナーは「日によって変わってくるので分からない」とし、5月中の1軍復帰は難しい状況だ。

 <ソフトバンク 連勝止まり、王さん嘆き節…>連勝は4で止まった。王監督は4時間1分の負け試合にくたびれた様子で「投手が悪けりゃ勝てない、の典型だな」。先発の高橋秀の不出来を嘆いた。6人目の先発に期待していたが、2回に左すねに打球を当てる不運もあって序盤からつかまり3回途中でKOされた。「やっぱりコントロールがないわな。6人目?また何か考えないと」。今週から8週連続で6連戦が予定されており、頭を抱えていた。
http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2006/04/28/01.html